留学以外の予定

昨日は留学前の最終出社日でしたが、waigayaMLで、あるいは直接口頭で、いろいろな方から「ブログ読みましたよ」「がんばってね!」というお声をいただきました。ありがとうございます。

これから1ヶ月半ばかりは、皆さんとの連絡がメールとこのブログだけになります。向こうはホテルも大学もインターネット環境はしっかりしているらしいので、それほど連絡に困るということはないと思いますが、できれば事務的な連絡だけでなくもうちょっといろいろな話でやり取りし続けたいと思ってますので、このブログには真面目な話ばかりじゃなく、日常のはっちゃけたこともどんどん書いていこうと思っています。どうせ社内の人しか見てませんし、ぜひどなたでも気軽にコメントいただければ。

さて、留学といっても実際のプログラムに参加する期間は6月2日(月)〜27日(金)の4週間でして、それに対して僕が日本を発つのは5月26日、帰国するのは7月7日となっています。一体その前後の各1週間ずつ、川上は欧州で何をやっておるのか?と思われた方もいるでしょう。なので、ここでIFDP留学以外に予定しているアクティビティを2つ、ご紹介したいと思います。

企業内大学の取材】

まず、5/26に成田を発ってチューリヒ経由でマドリッドに向かうのですが、行き先がバルセロナではなくマドリッドというのには理由があります。GOLの皆さんからリクエストを受けていた「欧州のグローバル企業の企業内大学」の取材をするためなんです。

取材する先は、マドリッドに本社を持つ電力・ガス会社、Unión Fenosa(ユニオン・フェノサ)です。IESEの教授にお願いして、アポを取っていただけました。「なーんだ、電力会社かよー」と思われるかもしれませんが、日本の電力・ガス会社を想像してはいけません。この会社、何とスペイン以外にも中南米、米国、中東など世界13カ国で天然ガスの開発やガス・石油・水力・原子力・太陽光・風力などの各種発電事業を行っている、スペイン第3位の総合エネルギー企業です。

ユニオン・フェノサの2007年の売上高は60億ユーロ(約9720億円)、純利益は9億8600ユーロ(約1597億円)、従業員数はワールドワイドで1万2000人と、売上規模的には日本の東京ガス大阪ガスなどと同じぐらいでしょうか。で、またその企業内大学が相当の規模です。

Welcome to the UNION FENOSA Group - the UCUF in figures:

中南米と欧州各地、そしてケニアとフィリピンという世界中の19ヶ所に研修センターがあり、年間の受講者数は毎年のべ5万人。つまり、従業員が平均年4回、56時間の研修を受けていることになります。同社の社員教育に関する年投資額は2000〜3000万ユーロ(約32〜48億円)。年にもよりますが、売上高の0.5%を企業内大学に振り向けている計算です。

企業内大学の概要を見ますと、以下のような7つの柱が掲げられています。

  1. 経験から学び、教える: それぞれのビジネスのあらゆるステージの研修に、マネジャーや専門職が参加します。
  2. 事業ラインの戦略構築のニーズに入り込んだ研修を開発・実施します。
  3. 国際的な環境におけるビジネスの成長のために、グループの組織文化や価値観を統合します。
  4. 最高のビジネススクールや大学とのアライアンスを確立します。
  5. 研修の品質を高めるため、品質評価を徹底します。
  6. 最先端の技術を用いながら、革新的な研修メニューの開発に取り組みます。
  7. 企業内大学の)組織運営の重要な要素に、大学を組み込みます。

ざっと見ると、日本の企業内大学に比べて、大学やビジネススクールがより現場に入り込んで事業特性に合わせたメニュー、カリキュラム等を作っている印象を受けます。また、研修の品質評価とか「Evaluation」という単語が頻出しているのにも興味を惹かれます。

ユニオン・フェノサの企業内大学の責任者にお話を聞けることになりましたので、皆さんからも、何か「こんなことを質問してみてほしい!」というのがあれば、ぜひコメント欄に書き込んでください。お待ちしています。

ビジネススクールの教員採用・評価】

2つめのアクティビティですが、これは留学プログラムが終わったあと、7月に入ってからのものです。GMSの君島さんから「海外のビジネススクールの教員は、どのような評価基準で採用され、評価され、報酬が決められているのか調べてきて欲しい」と言われました。

それを踏まえて、欧州トップとも言われるブランドのあるビジネススクール、スイスIMDのファカルティ・ディベロップメント(FD)担当の教授にアポイントを取り、インタビューを試みることにしました。

IMDのMBAコースのコンセプトは、結構グロービスと似ているのではないかと思っています。こちらのブログは、昨年までIMDに留学していた日本人の方が書いたものですが、その中に描写されているクラスの様子を見ると、ひたすらリーダーシップや意思決定に重きを置き、スイスの風光明媚で閑静なリゾート地の中に24時間学生を監禁して8人単位のグループで討論させ、しかもそのディスカッショングループに1人ずつ心理カウンセラーが付いてディスカッションをウォッチし、個々人の学生にフィードバックを入れるという仕組みまで付いています。

こうした、実践的な精神力、意志の強さにフォーカスしたMBAスクールの講師というのは、どのようにリクルートされ、評価されて報酬を受け取るのか?というのを、ローザンヌに行って聞いてみようと思っています。こちらも、もし「こんな質問もしてみてほしい!」というのがあったら歓迎です。ぜひコメント欄に記入してください。