ソフィア王妃芸術センター

昨日は、午前中に仕事を1件こなした後、午後に時間があったので、スペイン現代美術の殿堂と言われる「ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)に行ってきました。

とはいえ、昼も14時ぐらいだったので、さすがにお腹が減っていましたので、まずはバール(Bar)へ。王立劇場近くの脇道にあった、外にコンビネーションメニューの写真がでかでか張り出されているバールに入ってみました。

注文は、ポテトフライと鶏肉のフライ、目玉焼きのお皿。ていねいに「Plato combinados segundo, por favor.(2番目のコンビネーションのお皿をください」と序数(segundo)で言ってみたのですが、余計だったみたいで「Numero dos?(ナンバー2?)」と聞き返され、ちょっとがっかり。

気を取り直して、ソフィアに向かいます。地下鉄に乗って「アトーチャ」駅で降りるとすぐ。このアトーチャ駅というのが面白いです。地下鉄駅なんですが、エキナカのお店がたくさん。パン、お菓子、軽食あたりは当たり前ですが、写真屋、化粧品、アクセサリーのお店までありました。カオスですね。

アトーチャ駅を左に見ながら少し歩くと、ソフィア芸術センターの正面に来ます。もともと病院だった建物をリノベーションして、正面にガラスのエレベータを2基くっつけた建物です。現代アートの美術館というとフランスのポンピドゥーがあると思いますが、個人的にはカラフルでダクトだらけのポンピドゥーよりも、白を基調にまとめられてこぢんまりしているこちらのほうが好きでした。

ソフィア芸術センターには、何があるかって?スペインの現代アートと言えば、もちろん!ピカソです。そう、ここにはあの「ゲルニカ」が所蔵されているんです。「ゲルニカ」はもともと1981年にニューヨークからマドリッドプラド美術館に移されたのですが、その後92年にこのセンターのオープンと同時に、目玉作品として移されました。今は2階の常設展示場に、61点の習作とともに展示されています。

例によって展示スペースは写真撮影禁止だったのでご紹介できませんが、「ゲルニカ」は展示されている場所の3メートルぐらい手前まで、白い床板が張ってあって立ち入り禁止になっています。その床板の近くまで近づいて座って眺めようとしたら、「プー」というブザーが鳴りました。どうやら、板に近づいただけで感知されて警報が鳴るようになってるみたいです。以前は防弾ガラスのケースに入れられていたそうですが、さすがに今はそれは取り払われていました。

ソフィアには、他にもミロ、ダリ、フアン・グリスなどの20世紀のアーティストの作品が所蔵されていますが、そうした常設展示スペース以外に、特別展示や図書館の入っている新館が、南側にくっついています。上の写真はその新館を、サンタマリア通りから見たところ。建物の壁に、半透明でスペースの案内が書かれています。図書館だけにそれを意図しているのでしょうが、まさに巨大な書籍の目次のようです。

新館の内側の吹き抜けから新館を見上げたところです。巨大な屋外芸術作品が吹き抜けに立っています。ガラス張りでカッコイイ。

ライブラリです。地下から2階ぐらいまで吹き抜けになっていて、1階から地下のフロアの様子が見られます。私が昔、11月にパリのポンピドゥーに行ったときには、図書館は学生でごった返していましたが、ソフィアの図書館はガラガラでした。芸術系の学生はマドリッドにはあまりいないのでしょうか。

図書館の横のブックストアです。1階にはソフィアに展示されている作品の絵はがきから作家の本、カタログなどが並んでいました。2階には哲学や文学の本もあったようです。

今回、一番の発見は、自分は実はミロがあまり好きじゃなかったということを知ったことです。昔から教科書に載っているミロの絵が好きでしたが、今回部屋中にミロの絵が並んでいるところを見て、全然感動しませんでした。というか、「もうちょっと意味のあるもの描いてよ!」と思ってしまいました。いや、もちろんそれぞれの絵には意味があるのでしょうが、何となくなじめません。たぶん、絵のタイトルを見ないと何が描かれているのか理解できない(現代アートって多かれ少なかれ皆そうですが)のにだんだん腹が立ってきたのかも(笑)。自分が年取った証拠ですかね。

その代わりに今回いろいろ見ていて気に入ったのが、スペイン表現主義の画家、ホセ・グティエレス・ソラーナ(José Gutiérrez Solana)という作家の作品です。1900年代前半に、陰影の強い群像画をひたすら描いていた人なのですが、上の「カフェ・ポンボでの集まり」(1920年)などはハッとするほど巧みな人物描写の駆使された絵です。居並ぶ1人1人の性格と発言まで聞こえてきそうな気がしました。

最後に現代アートとは何の関係もない(少しはあるかな?)のですが、ソフィア芸術センターの前のバス停に掲示されていたWii Fitの広告。ムキムキのマッチョな男性がトレーニングしている様子が広告になるところが、何ともスペインらしいというか。そんなわけで、昨日のご報告でした。今日は、これからマドリッドを出て、鉄道でバルセロナに向かいます。