マドリッド劇場巡り

昨日(30日)は、マドリッドからバルセロナに移動する日でした。移動は、せっかく時間もあることだしいろいろな交通手段を使おうと思い、RENFE(スペイン国鉄)に乗ることにしました。

昔はマドリッドバルセロナは各駅停車みたいな鉄道しか走っていなかったらしく、鉄道で行こうとすると半日はかかっていたらしいのですが、今は新幹線のような特急列車がマドリッドバルセロナ間をノンストップ2時間半で結んでいます。まさに東京−大阪と同じような感覚ですね。上の写真は、バルセロナ行きの特急列車が出ているターミナル駅「アトーチャ」の駅舎外観です。
で、宿を11時半に出発し、地下鉄でアトーチャ駅に行ってチケットを買おうとしたのですが…まず窓口がどこか、分かりません(泣)。重い荷物を引きずってあちこちウロウロして汗だくになって、やっとのことで長距離列車のチケット売り場を見つけてカウンターにたどり着きました。

僕(*^O^*)< サンツ・バルセロナまで1枚!

お姉さんJ(・∀・)し< バルセロナ行きの列車は満席です。一番早いので、今日の夜9時発の便になります

(;゚Д゚)< え?マジッスか?…(今、昼の1時前なんですけど…)

(;゚Д゚)< あの…自由席とかないんですか?

J(・∀・)し< ありません
…\(^o^)/オワタ

というわけで、今さら飛行機に切り替えるわけにも行かず、やむなく夜9時アトーチャ発のチケットを買わざるを得なくなってしまいました。さて、突然40kgの荷物とともに8時間もの時間をつぶさなければならなくなった…どうしよう。

まず、この荷物をどっかに預けなければ。でないと、どこで時間をつぶすにも身動きが取れない。そう考えて、駅構内の地図を見てコインロッカーを探し、そこに荷物を引きずって何とか放り込むことができました。

さて、日本だったらこういう時、何を考えるでしょうか。どっかのファミレスにでも入って最低限の注文だけして後は居眠りしたりして過ごすかもしれません。でも、よく考えたらここはマドリッドのど真ん中。しかもアトーチャ駅ということは、近くにスペイン3大美術館と言われるプラドとソフィアとティッセンが全部揃ってる!これはきっと「マドリッドでもう1日、ちゃんと自分のために時間を使っていけ」という神様の思し召しに違いない!(←突然カトリック教徒化)と考えると、何だか嬉しくなってきました。

よーし、本当は行きたかったけど時間がないから行けないと思ってたプラド美術館行くぞー。ということで、例によって入口の写真だけですが、駅からプラドまで歩いて行き、そこで4時間半、絵画を隅から隅まで見て回りました。実は、ちょうどプラドの中にいた間は雨が降っていたので、とてもラッキーでした。美術館のカフェテリアでランチも食べ、午後のお茶もして、すっかり芸術にはまった気分。でも、駅に1時間前に戻るとしても、まだ後3時間近くあります。絵画はもう疲れたからティッセンには行きたくないし。隣のレティーロ公園で休もうか?

ここで、僕のもう1つの趣味が頭をもたげてきました。ガイドブックを見ると、ちょうどプラドから地下鉄で2〜3駅の範囲内にいくつかターゲットがあるようです。「せっかくマドリッドに来たのに、演劇のえの字も触れずに帰るのはもったいない!劇場巡りをしよう!」
というわけで、残った時間でマドリッドの劇場をいくつか見て回ってきました。もちろん外から見るだけですが、どんな劇場でいくらぐらいの料金でどんな演目が見られるのか、調べてみたので以下どうぞ。

まず最初に行ったのは、エスパニョール劇場(Teatro Español)。プラド美術館からサン・ヘロニモ大通り(Carrera de San Jerónimo)を西へ行き、ウェスティンホテルの角を左に折れてプラド通り(Calle del Plado)に入り、サンタ・アナ広場(Plaza de Sta. Ana)の前にあります。

ちょうど今日から「レディ・マクベス」という、たぶんシェークスピアの「マクベス」を下敷きに創作したお芝居が始まるところのようでした。劇場の座席表を見ると、ちょうどグローブ座のような感じでしたので、たぶんこの手のストレートプレイがよくかかる劇場なのでしょう。料金は、壁面(Platos)の席が18ユーロ、舞台正面席が20〜30ユーロでした。

次に行ったのは、アルベニス劇場(Teatro Albéniz)。場所はプエルタ・デル・ソル(Puerta del Sol)の南のマドリッド政庁の裏手にあります。

ここは、フラメンコなどの歌謡・舞踊が中心のようでした。食事付きが50ユーロ、食事なしの観劇のみが20ユーロぐらい。juevesは舞踊系にはあまり関心がないのですが、ここは劇場周辺の雰囲気がすごく良かったですね。細い道の両側にさまざまなバール、カフェ、レストランがその個性を競い合っています。夜観劇を終えてからちょっと1杯、みたいなのが楽しそうな場所です。

その次に、ティルソ・デ・モリーナ(Tirso de Molina)にある新アポロ劇場に行こう…と思ってアトーチャ通りを渡り、南に向かって歩いていたら、あれ?こんなところに劇場が?というところにぶち当たりました。フィガロ劇場(Teatro Figaro)です。

アトーチャ通りからドクトル・コルテソ通り(Calle del Doctor Cortezo)を少し入ったところにある劇場で、5月30日からマルグリット・デュラスの「La Musíca」を演劇に翻案したものを上演するようでした。この劇場の雰囲気が、一番juevesの好みでしたね!下北沢の劇場に行くのが好きな人なら、たぶんマドリッドではここでしょう。料金は18ユーロから20ユーロ。日本に比べると、安いですよね。

その次は、目的にしていた新アポロ劇場(Teatro Nuevo Apolo)。ここは…なんというか、場末のコメディ専門劇場、みたいな感じでしたね。

演目はちょうどRENFE(スペイン国鉄)がスポンサーになっているミュージカルをやっていましたが、舞台写真から感じる雰囲気が吉本新喜劇に近かったですね(笑)。ここから南側は「マドリッドの危ないエリア」とされているところで、確かに歩いている人の雰囲気もちょっと変わってきたので、いったんアトーチャ通りまで引き返して東に歩きました。

最後に会った劇場は、モヌメンタル劇場(Teatro Monumental)。地下鉄「アントン・マルティン」駅の前にあります。

ここはガイドブックによるとスペイン国営放送(RTVE)の交響楽団の本拠地だそうなので、要するに東京で言うとNHKホールみたいなもんなのでしょう。劇場というよりは、音楽ホールですね。

と、ぐるっと劇場巡りをしてアトーチャ駅に戻ってきたら、ちょうど8時、バルセロナ行き特急の出発にちょうど良い時間になっていました。でも、ふらふらと歩いていて感じたのは、マドリッドの街角ってどこもかしこもバールだらけなんですね。ビールとポテトフライとパンとハムが好きな人にとっては、たまらない街なんだろうと思いました(僕はそろそろ飽きてきましたけどね)。では。