バルセロナ観光

昨日は日中、バルセロナ観光に出かけてきました。といっても大した目的があったわけではなくて、とりあえず見るべきものは見ておかなくちゃ、的な気持ちだったのですが、11時にホテルを出て、結局戻ってきたのが夕方5時半でした。マドリッドでの劇場巡り以来ですかね、こんなに歩き回ったのは。ずいぶん歩き回りました。どんなところに行ってきたか、ちょっとご紹介しましょう。

まず、バルセロナと言えばまずはここに行かなければ!というところに最初に行きました。そう、サグラダ・ファミリア聖堂(Temple de la Sagrada Família)ですね。あのガウディが設計して、死後80年経ってもまだ完成しない(完成予定は2020年)という壮大な建築です。地下鉄「サグラダ・ファミリア」駅を降りて地上に上がると、目の前にいきなりどかーんとそびえ立つファサードと鐘楼に圧倒されます。強烈ですね。
一応、東側の「生誕のファサード(Fachada del Nacimiento)」から入り、中を通り抜けて「受難のファサード(Fachada de la Pasión)」を出て、地下の博物館(Museu)を通って戻ってくるという順路を一通り歩いたのですが、なんかもう「よくもここまででっかいものを作ろうと思い立ったもんだなガウディという人は」というのが正直な感想です。結果としてバルセロナランドスケープのシンボルとなったわけで、建築は目立てば勝ちということを100年以上も前によく理解していたという感じじゃないでしょうか。

ここを訪れてみて初めて知ったのが、サグラダ・ファミリアはそのデザイン上のモチーフの中にものすごくたくさん「文字」が使われているということでした。鐘楼の頂上付近のウロコのようになっている部分には「AMEN」とか、いろいろな文字が彫られています。それだけでなく、例えば西側の「受難のファサード」の入口の門やその上の壁面には、びっしりとラテン語の聖書文字が鋳込まれた青銅が使われていたり、正面の「栄光のファサード(Fachada de la Gloria)」の完成予想図を見ると、なんか雲のようなものがまとわりついているのですがその雲1枚1枚に、さまざまな聖書の言葉が書かれていたりします。

これは、ガウディがこの聖堂を「石でできた聖書」にしたいと考えたからだそうなのですが、意匠デザインにこれほど多くの文字を使った建築というのは、現代ではめったにないのではないでしょうか?文字を書くと安っぽく見えてしまいますからね。それができるのは聖書の言葉を使うサグラダ・ファミリアだけではないかと思いました。

さて、サグラダ・ファミリアを見たとなれば、次はグエル公園カサ・ミラかというところでしょうが、さすがにバルセロナ中のガウディの手がけた建築を全部見て回る気力は僕にはなかったので、グラシア通り(Passseig de Gràcia)沿いにある2件の作品を遠目に眺めるだけにすることにしました。1つはカサ・ミラ(Casa Milà)です。「山」をモチーフにしたと言われるそのデザインは、まっすぐなところがどこにもなく、奇妙としか言いようがありません。でもサグラダ・ファミリアといいカサ・ミラといい、奇抜な外観なのにそのシルエットを描く曲線は何か微妙に調和が取れている気がするのは、実はガウディの独特の2つの設計技法にその秘密があります。

1つは「逆さ吊り模型」と言われるものです。説明すると長くなるのでこちらとかこちらのブログを読んでいただくとして、要するにぐにゃぐにゃの曲線を使っているように見えて、その曲線は力学的にちゃんと合理的なものなんですよ、という意味です。もう1つは、彫塑模型による建築設計です。ガウディの建築に多用されている3次元の曲線は、2次元の設計図面だとどんなにきれいに描いてもそれを再現できないわけなのですが、ガウディは建築に取りかかる前に石膏でさまざまな自然物を型取りしたものから実物の10分の1ぐらいの彫塑模型を作って、それを石工や職人たちに渡して同じように作らせていたのです。決して適当にぐにゃぐにゃにしていたわけではないのですね。

と、ここで何の関係もないのですが、ちょうどカサ・ミラの1階に、先日の「ケースライティング」のクラスで出てきた「ファルッジ(Farggi)」という高級アイスクリーム屋さんのお店があったので、写真を撮ってしまいました。レナルト教授いわく「ハーゲンダッツにインスパイア(笑)された店」だそうです。クッキー&クリームを買って食べてみましたが、確かにおいしかったですね。味もハーゲンダッツそっくりでした。

さて話を戻して、カサ・ミラからグラシア通りを南に下っていくと通りの反対側に現れるのが、これまたガウディの作品であるカサ・バトリョ(Casa Batlló)カサ・ミラが山を模したのに対し、こちらは海を模したそうで、確かにそう言われてみればベランダのテラスや外に出ている柱のデザインが波やしぶきを表しているのが分かります。

なんですが、もう3つ見ただけでお腹いっぱいになってしまうのがガウディの建築なので、ちょっと別の「バルセロナの名所」に足を向けました。

そう、サッカーファンであればおそらくサグラダ・ファミリアよりもこっちの方がずっと大事な「バルセロナの象徴」ですよね。FCバルセロナバルサ)の本拠地にしてスペイン最大のサッカースタジアム、カンプノウ(Estadi Camp Nou)です。地下鉄「ラス・コルテス」駅を降りてから歩いて行こうとしたのですが、この巨大なスタジアムのちょうど反対側に入口があったため、この巨大なスタジアムをぐるっと4分の3回りぐらいしなければならず、めちゃくちゃ歩くはめになってしまいました。ガイドブックに書いてあった「マリア・クリスティーナ」駅からの方が、よほど近かったかも。

ようやくカンプノウの入口です。といっても、今はサッカーは欧州カップも終わってオフシーズンに入ってしまったので、試合はなし。世界中の他のサッカークラブと違って、バルサは「ソシオ」という会員になったバルセロナ市民が寄付で財政を支える仕組みを取っているため、ユニフォームに広告主の企業名を入れていません。でも、スタジアムの外観部分にはナイキの広告が張り出されていました。

こちらはスタジアムの横にあるFCバルサ博物館の1階・地階にある「FCBメガストア」です。かなり広い店内ですが、あらゆるバルサグッズがこれでもかと置かれていました。ちなみに、昨年のバルサの成績不振の元凶とされ、目下ACミランチェルシーなどへの移籍が噂されているロナウジーニョは、店中どこを探してもネーム入りユニフォームどころか、ロナウジーニョのブロマイドすら見当たらなかったのには笑いました。いやー、当たり前っちゃ当たり前ですが、バルサファンも退団予定の選手に対しては厳しいですな。

で、今日の最後の写真は。

今日はあちこち回るのに地下鉄を使ったのですが、これは地下鉄の中の写真。一番苦笑したのはこれ!マドリッドの地下鉄は「次の到着まであと1分」とか、分単位の表示しか出ていなかったのに、バルセロナの地下鉄は秒刻みで次の電車が来る時間が表示されていました!しかも、写真の左下に見えていますがなんと線路の向こう側の壁(広告が張られるところ)にスクリーンがあり、プロジェクターでコマーシャルの動画が投影されているのです!プラットフォームにはもちろんそのコマーシャルの音楽がスピーカーでガンガンに流れています。大阪の地下鉄だってこんなにせちがらくないぞ、どんだけ〜!と、心の中でツッコミを入れてしまった僕でした。

それでは今日はこのあたりで。