バルセロナ自転車ツアー

今週の金曜日はプログラムもランチ前で終わりました。この日は夜に、IESEのスタッフが企画してくれた「自転車ツアー」に参加しました。バルセロナの中心部を、レンタル自転車で観光して回ろうというものです。2000年前にローマ帝国カストルム(宿営地)として建設された都市バルセロナの、古代・中世から現代までをぐるっと回るツアーです。

ホテル前に17時に集合して、バスでゴシック地区に連れて行ってもらいます。フランサ駅(Estació de França)の近くのパラウ広場(Plaça de Palau)に到着すると、サンタ・マリア・ダル・マル教会(Església de Santa Maria Del Mar)の近くの道を入っていきます。自転車ツアー開始まで少し時間があったので、教会に入ってみました。14世紀に建立されたこの教会は、バルセロナの中世の繁栄のシンボルで、今もバルセロナで最も格式の高い教会なのだそうです。

教会の中でしばらくぼーっとしているうちにツアーの準備ができたとのことで、自転車のお店へ。「ジル」と名乗る地元のガイドさんが、案内してくれることになりました。さっそくフランサ駅からシウタデリャ公園に向けてサイクリング開始。1888年バルセロナ万博の会場だったところです。公園の北側には凱旋門(Arc del Triomf)があります。

ちなみにこの凱旋門は、万博用にフランス・パリの凱旋門を模して建てられたもので、特にバルセロナの支配者の戦勝を記念したものではないそうです。ちょっと拍子抜け。

凱旋門から東に向かい、海に向かってマリナ通り(Caller de la Marina)を走っていくと、オリンピック村(Vila Olímpica)に出ます。1992年にバルセロナ・オリンピックが開催された際の選手村となったところです。交差点からは、フランク・ゲーリーの設計した金色の魚のオブジェなど、奇抜なデザインの建物がたくさん見渡せます。

オリンピック村の海辺は、「バルセロネータ(Barceloneta)」と呼ばれる場所で、もともとは漁港だったところに白い砂を入れて人口ビーチを造り、埠頭付近はマリーナや超高級ホテル「ホテルアーツ」が入っているツインタワーが並んでいます。埠頭の先端からツインタワーに向かって振り返ると、ちょうど2つのタワーの間にサグラダ・ファミリアがそびえ立っているのが見えます。見事な景色ですね。

その後、バルセロネータの浜辺が途切れるところまで自転車で走っていきましたが、実に気持ちよかったです。でも、日中は夏になると40度を超える暑さになることもあるそうで、砂浜に出て日光浴…というのはちょっと危険かも。あと、バルセロネータのさらに先の岬の先端に、何やら巨大なホテルが建設中でした。何やら横浜の「グランド・インターコンチネンタルホテル」を連想させるデザインなのですが、どんなホテルになるんでしょうか。

そこからはマリーナやロープウェイを左に見つつ、バルセロナの港をぐるっと回って「コロンブスの塔」のあるプラサ・ポルタル・デ・ラ・パウ(Plaça Portal de la Pau)に向かいます。ここもとても気持ちの良いところ。コロンブスの塔は、文字通りてっぺんにコロンブスが立っていて、アメリカ大陸を指さしている…のだそうですが、塔が作られたのは1888年。これまた実際のコロンブスとはあまり関係なく、単に万博の記念碑みたいな感じで作られたものです。

コロンブスはともかく、そこからゴシック地区の中に入っていき、プラサ・レイアールからローマ時代や中世の遺構の残るカテドラル、王の広場(Plaça del Rei)といった建物を見て回ったのですが、その中でジルが案内してくれたのが、この広場。カテドラルの裏手というゴシック地区のど真ん中にありながら、観光客や道路の喧噪とは無縁の、静かな広場です。広場の真ん中に立っている木立の影でゆったりとお茶を飲んでいる人たちがいました。壁にすごい銃創がたくさん付いているのですが、ジル曰く「ここはかつてユダヤ教会があったところだが、数十年前にユダヤ人を迫害した時期がバルセロナにもあり(恐らくスペイン内戦のことを指していると思われる)、その頃にここで多くのユダヤ人や子どもたちが亡くなった」といったようなことを話していました。ヨーロッパの町って、こういう歴史が石でできた町そのものに刻み込まれているんですね。

というわけで、2時間半の自転車ツアーはバルセロナ市庁舎のあるジャウマ1世広場を通り、サンタ・マリア・デル・マル教会に戻ってきて終わりました。ローマ時代からバルセロナ・オリンピックまで2000年以上の時代をいっぺんに感じることのできる自転車ツアー、結構お勧めかもです。